いちむし とは
いちむしは沖縄方言で「生きもの」を示す言葉で、現在はほとんど忘れられています。
虫けらという意味合いもありますが、私たちの生活に身近な、親しみ深い生き物たちを表します。
山本 結沙
Yusa Yamamoto
来歴
2015年 大阪から沖縄本島へ移住
2019年 琉球大学理学部 海洋自然科学科生物系 卒業
壺屋焼窯元 陶眞窯・金城陶器所にて陶芸を学ぶ
壺屋焼 後継者育成事業 修了
2022年 いちむし堂として窯元から独立
旧喜如嘉小学校に工房を開業
技法
沖縄の赤土をつかい、蹴りロクロでひとつひとつ手作りの器を作っています。
赤土で成型した器は、白い泥を被せたり(化粧掛け)、釉薬を掛けて一度表面を覆います。
その後、模様だけを残して周りをすべて手作業で削り落とします(掻き落とし)。化粧や釉薬に覆われている部分と赤土の部分の色の違いによって、はっきりとデザインが表れます。
粘土には粗い土をつかい、ざらざらとした土の肌触りをあえて残した仕上がりにしています。
作品コンセプト
[ いちむし × 琉球古典焼 ]
沖縄の焼き物が全国に広く知られる前、大正時代~昭和初期、琉球古典焼と呼ばれる陶器がありました。
たった20年の間に、奈良の商人らが壺屋の職人たちと共に作り上げた、沖縄独自の焼き物です。
掻き落としや線彫りの細やかな技術で、うつわに溢れんばかりに描きこまれた、沖縄の植物、動物、人。
その活き活きとした姿には、当時の商人たちが目にした沖縄への思いが詰まっているように感じられます。
沖縄の豊かな自然は、今も変わらず私たちの心を強く魅了してやみません。
いちむし堂は、琉球古典焼のデザインをもとに、沖縄のいちむしたちの持つ生命力をうつわの中に表現することを目指しています。